ECO研究会
   
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 平成21年度ECO研究会技術講演会を6月24日に行いました。その際に行いましたアンケートでは、多くの質問や今後も継続してほしい旨の要望もいただきました。今後のテーマとして、汚染対策事例の紹介希望が最も多く、技術部会で検討し今後の技術講演会の参考にしたいと考えております。この際に受けました質問については、各講師へ回答をお願いいたしまして丁寧な回答をいただきました。下記にその内容をご報告いたします。
 
講演1「改正土壌汚染対策法」に関して
講師 : 環境省 水・大気環境局土壌環境課 課長補佐 今野 憲太郎 氏
Q1.「掘削除去がどれだけ減るのか疑問」
要措置区域制度や搬出時の規制を創設することにより、間接的にではあるが、掘削除去の偏重を是正したいと考えています。措置義務者が掘削除去を選択し、法の定めるところに従って、汚染の拡散をもたらさないように適切に処理しようとする場合にまで、行政が禁止するようなことはできないため、御指摘のように、掘削除去が減らないのではないかとの御指摘は、我々も心に留めなければならないと考えます。
あとは、形質変更時要届出区域に対する評価等、不動産取引時の考え方を変えることを通じて、何が何でも掘削除去ではないのだという考え方を浸透させることを考えていきたいと思います。
 
Q2.「3000u以下で汚染が多く存在し、改正法でもカバーできないのでは。」
御指摘のように、汚染の有無と面積には相関関係はありません。
改正後の第4条は、

1.土壌汚染が存在する土地の形質の変更を行うことにより汚染の拡散リスクが生ずること
2.そして形質の変更が行われる土地の規模が大きいものであるほど、汚染の拡散のリスクも大きくなることを踏まえ、全ての形質変更に届出義務を課すのが現実的でないという判断から一定規模以上という仕切り分けをしたものです。

この場合、一定規模未満の土地が網の目をすり抜けてしまいます。
この為、指定の申請制度を設けました。不動産取引の際に自主的な調査が広く行われているという慣行と相俟って、一定規模未満の土地の土壌汚染についても、法の管理が及ぶことを期待しています。
 
Q3.「これまでの指定基準がおかしくはないか」
区域の指定は、土壌汚染が客観的な数値基準を超過した状態にある土地をマーキングし、形質の変更により汚染が拡散しないように適切に管理するために必要であることから、本当に対策が必要なところだけを指定すればよいという考え方は、必ずしも妥当でないと考えます。
 
Q4.「企業の体力低下により調査が完全に履行されない場合の手当はどうすべきか」
業績の悪化等により調査義務を履行されない場合があり得るとしても、これは必ずしも法律により対処される必要はないと考えます。
 
Q5.「手数料事務等法施行に向けて自治体が整備すべき事項は何」
現在、改正法の施行に向け、政省令、告示、通知等の整備を進めており、今後、適時に説明会を行ってまいります。
なお、すでに手数料の考え方をお示しし、省令規定事項もパブリックコメントに付されたことから、これらの情報により、適宜準備を進めていただくようお願いします。
 
Q6.「請求権について、第8条が有利でしょうか」
第8条は、民事上の請求権とは別に、環境行政法の見地から、健康保護のために必要最低限の措置の費用の限度で請求権を認めたものです。仮に指示された措置が掘削除去であれば、第8条により掘削除去に要した費用の全額について費用請求が認められる可能性がありますし、どちらが有利不利とは一概にはいえません。
 
講演2「土壌汚染の現状と今後」に関して
講師 : 北九州市立大学大学院 国際環境工学科 教授 伊藤 洋 氏
Q1.「浄化工法別のコスト、費用面について知りたい」
詳細が無いと判断が不可だが 一般的に下記のように考える。(私見)
 重金属の場合 \30,000〜\80,000/1ton当り
 VOCの場合  数千円〜\30,000/1ton当り
 油の場合    \10,000〜\50,000/1ton当り
 
Q2.「不動産取引では自然発生的であったとしても、汚染が見つかった土地については問題のある土地として位置づけられる。この点を今後どうすべきか。」
民間上の取引においては、関係は無い。自然由来であれば法律上の問題は発生しない。但し土地(土)を動かさなければ。
 
Q3.「ブラウンフィールド問題についてどう思うか」
土地の利用の仕方を考え、特に地方都市の場合は土地の価格が重要と思う。
 
Q4.「浄化基準を下げるべき項目があると思うか。」
個人的には厳しすぎると思うが、国は下げないと思う。例えば鉛は0,01mmg/Lだが0,1mmg/Lでもいいと思う。そうなれば汚染浄化市場は半減する。0,01mmg/Lとは人が70歳迄生きて毎日2Lの水を飲み続けて10万人に1人が発ガンすると言う数値。
 
一般社団法人 ECO技術協会